Seeed Fusion によるMCU基板製造
概要
Seeed Fusion にて$4.9で基板が作成できるらしいので実際にやってみる。
背景
ArtWorkの勉強のために実施。
仕事などで回路設計はするがAWは指示と確認のみである。
少しでもAWの苦労を実感したほうが良いと思った。
(ただ今回は2層基板のため、多層基板のAWの苦労には到底及ばない...)
全体の流れ
回路図作成・AW作成・基板製造を基板メーカーに依頼する。
基板到着後、部材を手配し手で実装。簡単なデザインを作成しMCUの動作を確認。
作るものとしてはTIのpiccoloの新しいMCUが気になっていたので、その評価ができればよいなという気持ちで作成。
Seeed Fusion で基板製造したわけ
安さと所要日数が短かったこと、日本語対応可であったため。
AW後にせっかくなので基板製造をしたくなったが、P版.comでは2万円を超える。
個人の勉強には多額であるため断念。
調べるとSeeedFusionが4.9ドルで基板製造してくれそうだ。しかし安くて不安...
送料込みで24.9ドル(送料20ドル)であったため、ダメージも少ないので依頼してみた。
(当時は合計15ドルで5枚製造と送料込みもあったようだ。)
各フェーズの概要
各作業工程の一覧と使用するツールはこんな感じです。
- 回路設計:TOOL:quadcept(←OrcadLiteデータコンバート)
- AW設計:TOOL:quadcept
- 基板製造:SeeedFusionにて依頼
- 部品手配:Mouserにて主要部品を手配
- 実装:手実装
- MCU開発環境:Code Composer Studio IDE(TI)
回路設計
MCUを中心とした回路図を作成。
OrcadPCBで作成し、quadceptにコンバート。
(OrcadツールではFusionSeeedでは具体的な提出ファイルがわからなかったため)
GPIOは基本的に外に出す。電源にはフィルタをかませる。
内蔵DCDCの機能が気になっているので、一応使えるように回路を引いてみた。
評価用のLEDを実装したいが、MCUの端子からドライブするのはしょっぱい。
シンクさせると電源パターンが引きにくくなるので結局ドライブとした。
最後の良心として実装部品にて5mA以下の電流に調整することにしよう。
PCB設計
- 表面
ほとんどの配線を表面に。自身のはんだスキル(下手)を考慮し、チップ品はすべて1608とした。
- 裏面
裏はGNDベタ(デジタル、アナログ)と電源パターン。
左下はアナログGNDでそれ以外はデジタルGNDとしている。
部品がちょっと乗っているのはDCDCの外付けインダクタの周り。
2層しかないのであまり気を使っても意味がないが、以下を意識...
- 裏面はできるだけGNDベタとなるように
- アナログGNDの分離(1点接続)
- デバイスの直下はGNDベタにし、シールド効果を期待
基板製造
注文後の処理。ただし2日後にドリルデータがないと言われたため、すぐに再提出。
- 2019-08-14 ご注文を承りました。
- 2019-08-14 お支払い情報は確認済み、すぐにご注文を処理いたします。
- 2019-08-14 ご注文は確認済み、生産プロセスに入りました。
←ドリルデータに関するメールのやり取りは中国の担当者と日本語で対応。怪しい部分もあるが、わかりやすい日本語で簡潔に書けば大丈夫だった。
ドリルデータ再提出後のプロセス
- 2019-08-16 ご注文を承りました。
- 2019-08-17 お支払い情報は確認済み、すぐにご注文を処理いたします。
- 2019-08-17 ご注文は確認済み、生産プロセスに入りました。
※16日(金)の夜に再提出。17日18日は土日のため、19日に製造スタート
- 2019-08-21 ご注文は梱包され、すぐに出荷されます。
- 2019-08-21 ご注文は出荷されました。すぐに配送状況を更新いたします。
- 2019-08-22 成田空港到着
- 2019-08-23 荷物到着
所要日数は10日間であった。但しデータに不足があったため、実際は8日間(土日含む)と思う。
さらにこれは土日もはさんでいるため、3営業日で発送→到着まで3日であれば6日間で受け取ることも可能と思われる。
到着基板
基板が10枚届いた。
QFP64pinのパッドの間にレジストが流れているのと流れていないのがあるように見えた。
0.5mmピッチ(PAd0.3mm間隔0.2mm以下)なのでかなり細かいと思う。
手実装で焦がすことを想定して黒いレジストにしたがそれが仇になったか...
実装と評価
手実装を実施。MCUを乗せるのが難しかった。
(1000円のMCUを1個破壊。フラックスの力を借りつつ何とか実装。)
JTAGでアクセスできることを確認し、LED点滅のテストデザインを作成した。(CCS:TI)
以下の写真ではD2,D3が交互に点滅する。
JTAGエミュレータにはTMS320-XDS100-V3(Olimex)を使用。(左側の赤い基板)
JTAG接続時は以下に注意
- VTRefに3.3Vを入力する。
- TDISをGNDに接続する。
TMS320F28004Xの必要なコード類はC2000WAREにあった。(ControlSuitは無し)
ControlSuit→C2000WARE
感想
500円で基板ができることは魅力的だと思った。また1週間程度で手元に届くのも早いと思う。
品質に多少疑問はあるが、趣味の範囲や実験の治具であれば十分だと感じた。今回は手実装がだるかった(&下手)ので、次は実装サービスを使ってみたい。